首腰(脊椎)外来
首、背中、腰の痛み、腕や脚のしびれは、脊椎の疾患が原因である場合があります。脊椎は脊髄という手足を動かすために大切な太い神経を囲んでいるため、脊椎の疾患や変形を放置し、脊髄にまで病変が及ぶと、手足の動かしにくさや感覚の低下、膀胱・直腸障害などの神経系の症状が出現することが重大な問題です。痛みやしびれを放置せず、早期に診断を受け、まず適切な運動療法を受けることにより、手術が必要な状態に至らないようすることが大切です。
一方、脊椎椎間板ヘルニアや脊椎圧迫骨折では、まずは安静や装具療法が必要となり、リハビリテーションも原因に応じて変更する必要があります。脊椎の疾患の中には、転移性脊椎腫瘍や感染性脊椎炎など迅速な治療が必要な疾患が含まれます。肩こりや腰痛は多くの方が経験することですが、まずは原因をはっきりさせた上で、治療方法を考えることが大切です。
脊髄や末梢神経、靱帯や椎間板の病変を診断するためには、レントゲンだけでは不十分であり、MRI検査が必須となってきます。当院では、院内にMRI検査装置を保有していますので、正確な診断が可能です。
こんな症状がある方は受診をおすすめします
- 首・背中・腰の痛み
- 腕や脚の痛みやしびれ
- 肩こり・頭痛
対象となる疾患
- 変形性脊椎症・神経根症
- 頚部・腰部脊柱管狭窄症
- 椎間板ヘルニア
- 脊椎椎体骨折
- 脊髄損傷
- 後縦靭帯骨化症・黄色靱帯骨化症
- 側弯症
- 強直性脊椎炎
- 感染性脊椎炎
- 転移性脊椎腫瘍
- 橈骨・尺骨・正中神経麻痺など
腰椎分離症(ようついぶんりしょう)
小学校高学年~大学進学時の成長期のスポーツ部活生に多い腰の怪我に、腰椎分離症があります。腰椎分離症とは、腰骨である腰椎の椎弓部に起こる疲労骨折および椎弓の分離です。発生率は一般成人の6%程度と言われています。初期段階では自覚症状がないことも多く、腰の疲れや筋肉痛として見逃されてしまうこともあります。
しかし、「症状がないから」と治療をせずにスポーツを続けているとやがて椎弓が折れ、完全に分離する可能性が高くなります。椎弓が分離した場合は自然に骨がつくことは望めません。スポーツに支障が出るほか、日常生活にも支障をきたす場合があります。腰を反らす・ひねると痛む、腰に違和感がある、何日も痛みが持続する等の症状がある方は、できるだけ早めに受診をお勧めします。早期に受診し適切な治療を受けることで、椎弓が完全に分離するのを防ぐことができますので、まずはご相談ください。
腰椎分離症の進行度と骨癒合率
- 初期(2~3ケ月)ひびが入った状態・・・80~90%
- 進行期(4~6か月)分離が進んだ状態・・・50~60%
- 終末期(1年以上)完全に分離状態・・・0~10%
➀初期ではレントゲンで分離像を認められないのが一般的です。CTではよく見ると分離部がわかります。MRIでは脂肪抑制画像で椎弓の骨髄浮腫が白く確認でき、初期分離症の早期診断が可能です。
②進行期ではレントゲンやCTで進行度合い(病期)や分離部の骨癒合の経過を判断していき、MRIの脂肪抑制画像で骨髄浮腫の状態を確認していきます。終末期ではレントゲンで分離像が認められます。CTは分離の程度を確認し、MRIの脂肪抑制画像では骨髄浮腫が完全に消失していきます。
腰椎分離症ではMRIとCT両方の画像が必要になります。クリニックで両方の機器を備えている施設はあまりなく、CTを繰り返し受けることにより放射線の被ばくも伴います。MRI検査は強力な磁気を使用した検査であり放射線の被ばくがないため、安心・安全に検査を受けていただく事が可能です。
当院ではレントゲンとMRIで経過観察できないものかと考えていました。最近のMRI撮像技術の進歩によりCTに似た骨画像(Boneimage)が撮像できるようになり、積極的にこの撮像をしております。骨画像を活用しそれぞれと組み合わせていくことで診断向上に努めております。(必要に応じてCTも撮影していただく事もあります)
MRI骨画像(Boneimage)
肩肘股膝(関節)外来
肩関節、肘関節、股関節、膝関節はいずれも異なった形状をしており、痛みや不調の原因は関節ごとに異なります。すべてが加齢に伴うものとは限らず、適切な治療により治癒するものもあれば、重症化を予防できるものもあります。関節の疾患は、生活習慣(運動不足、肥満、姿勢など)やスポーツが原因となる場合もあり、しっかり原因を見極め、再発防止を図ることが大切です。
靱帯や半月板の病変を診断するためには、レントゲンだけでは不十分であり、MRI検査が必須となってきます。当院では、院内にMRI検査装置を保有していますので、正確な診断が可能です。当院では、薬物療法や関節注射だけでなく、運動療法・物理療法を中心としたリハビリテーションを受けることが可能です。
こんな症状がある方は受診をおすすめします
- 肩関節、肘関節、股関節、膝関節の痛み
- 関節の腫れ
- 関節の変形
対象となる疾患
- 変形性関節症、変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性肩関節症、変形性肘関節症
- 肩関節周囲炎(五十肩)
- 肩腱板断裂
- 石灰性腱炎
- 肘部管症候群
- 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
- 肘内障
- 野球肘
- 臼蓋形成不全
- 特発性大腿骨頭壊死
- 鼠径部痛症候群
- 半月板損傷
- 靱帯損傷(膝前縦靱帯など)
- 膝離断性骨軟骨炎
- O脚・X脚
- 腓骨神経麻痺
- 関節リウマチ
- 偽痛風 など
骨粗鬆症外来
骨粗鬆症は、非常に多い疾患です。80歳以上の女性の50%以上が骨粗鬆症に罹患していることが知られています。骨粗鬆症を放置すると、骨折し、要介護の原因となる場合があるため、早期に診断し、早期に治療を開始することが大切です。骨粗鬆症は、脊椎圧迫骨折(背中・腰)、大腿骨頸部骨折(脚の付け根)、上腕骨近位部骨折(肩)、橈骨・尺骨遠位骨折(手首)などの骨折の原因となりますので、これらの骨折を起こした場合にも、骨粗鬆症と診断し治療を開始した方が良いと考えられています。
まずは、レントゲン、MRIで隠れ骨折を含め検査してみましょう。血液検査で、骨粗鬆症のパターンを評価することができます。骨密度の測定は、世田谷奥沢整形外科病院やたかはし内科クリニック自由が丘などの連携病院で行います。骨粗鬆症は、副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド)、ワーファリン、抗てんかん薬を内服された方に加え、糖尿病、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝疾患、甲状腺機能亢進症、関節リウマチなどさまざまな疾患の方に多くみられることがわかっています。
これらのお薬や疾患をお持ちの方はぜひご相談下さい。骨粗鬆症の治療は、薬物療法が主に行われます。内服薬だけでなく、近年は注射薬の選択肢が増えてきたため、骨折予防効果に加え、利便性も改善しています。持病の治療を妨げるものではありませんので、個別に相談していきましょう。
こんな症状がある方は受診をおすすめします
- 身長が短くなった方
- 腰痛のある方
- 脊椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折、上腕骨近位部骨折、橈骨・尺骨遠位部骨折を受傷された方
対象となる疾患
- 骨粗鬆症
スポーツ整形外科外来
当院では、スポーツによるケガや障害の診断・治療・再発予防・競技復帰までをトータルにサポートいたします。プロアスリートはもちろん、部活動を頑張る学生、趣味として運動を楽しむ社会人やシニア世代まで、すべての“動く人”の身体を守る外来です。「無理せず動き続けたい」「痛みを我慢しながらプレーしたくない」「また競技に戻りたい」――そのような思いに寄り添いながら、医療×運動の専門知識を活かして支えるのがスポーツ整形外科です。
診療の特徴
当外来では、整形外科専門医・スポーツドクターによる診察を通じて、正確な診断と個々の競技・レベル・目標に応じた最適な治療計画をご提案します。必要に応じて画像検査(X線・MRI等)を行い、状態をしっかり把握します。また、リハビリテーション、トレーニング指導・セルフケアの指導も行っており、再発予防やパフォーマンス向上にもつなげていきます。
主な診療対象
- 捻挫、肉離れ、打撲、骨折
- 肩・膝・肘の靱帯損傷や関節障害(前十字靭帯損傷、肩関節脱臼など)
- スポーツによる疲労骨折、腱鞘炎、アキレス腱障害
- 成長期のスポーツ障害(オスグッド病、セーバー病など)
- ランナー膝、ジャンパー膝、テニス肘、ゴルフ肘
- 腰椎分離症、椎間板障害、股関節痛
受診をおすすめする症状・状態
- スポーツ中にひねった、ぶつけた、転倒した
- 膝・足首・肩・肘などの慢性的な痛みが続いている
- 走るとすねや股関節が痛む
- スポーツ後に腰痛や関節の違和感が出る
- 成長期のお子さまの運動中の痛み
- 試合や大会に向けて最適なリハビリテーションやテーピングを受けたい
- 早期の競技復帰を目指している
足病外来
足病は、様々な歩行障害の原因となる場合があり、初期の段階からリハビリテーションを開始し悪化させないことが大切です。主なリハビリテーションの方法は、①足にある細かい筋肉の筋力増強訓練、②電気刺激等を用いた感覚受容器刺激、③インソールをはじめとした装具療法、④靴の選び方やつめの切り方などの生活指導などがあります。
足病のリハビリテーションを行うにあたっては、従来の保険診療では限界がありますので、当院では、当院の理学療法士が経営するBody improve(東京都渋谷区渋谷:代表 町田)と連携して治療を行っていきます。
主な対象疾患は、下記の通りです。
- 足元に関わる症状全般
- 痛みを伴う外反母趾(内反小指)
- 巻き爪
まず、リハビリテーション科医師の診察や検査を受けて頂きますので、外来の予約をお取りください。 保険適応となる病状であれば、外来リハビリテーションを処方します。