老年精神科
高齢者の精神症状の原因は、心理社会的要因だけでなく、脳の老化に伴う影響(認知症や脳血管疾患)、からだの病気や薬剤の影響、若年期からの精神疾患の影響、若年期からの発達特性やパーソナリティの影響といった多様な要因が複合している場合が多くあります。まずは、なぜそのような精神症状が起きているのか、丁寧に紐解いていくことが大切です。
また、精神症状といっても不安については身体的な症状として表出される場合が多くあります。不安にともなう身体症状には、動悸、呼吸困難、発汗、口の渇き、のどの違和感、めまい、嘔気、腹痛、肩こり、頭痛、腰痛、からだのふるえ、つかれやすさなどがあります。
さらに、治療においては、精神科薬物療法だけでは不十分であり、運動や栄養や社会参加を軸とするリハビリテーションが必須となってきます。そうなると、高齢者においては、内科と精神科を分けてしまうとたらいまわしになりがちで、内科と精神科とリハビリテーション科を統合した「老年科」というスタイルが必要です。
高齢者においては、どの診療科にかかるか迷う前に、まず老年科に受診してもらい、全体を見極めた治療方針の決定をお勧めします。
大人の発達障害外来
近年、さまざまな精神疾患発症の基礎に発達障害特性(グレーゾーン)が関与している場合があることが明らかとされ、関与があるかないかで治療を変えることが推奨されています。発達障害は、不注意、多動性、衝動性の3つを主な症状とする注意欠陥多動症と、コミュニケーションや対人関係の難しさ、こだわりを特徴とする自閉症スペクトラム症が代表的です。
小児期に診断される場合もありますが、成人期に入ってから発達障害特性に気づかれる場合も多くあります。まずは自分の特性を理解することが大切です。自分の得意・苦手などの特性を理解した上で、対処法やスキルなどを身につけ環境を整えることで、今ある困りごとや生きづらさが軽減する可能性があります。当院は詳細な心理検査や画像検査が可能です。
発達障害特性の診断には、WAISなどの心理検査が必要ですし、また高次脳機能障害と見分けるためには脳画像検査が必要であると考えています。現在おかかりのメンタルクリニックではそれが難しいという方もいらっしゃると思われますので、その場合には、当院で精密検査のみを行い、現在おかかりのメンタルクリニックで治療を続けて頂けたらと考えます。
当院では、カウンセリングは行っていますが、コンサータ®、ビバンセ®といった中枢刺激薬は処方できませんのであらかじめご了承ください。
スポーツ精神科
運動・スポーツは、うつ病、統合失調症、認知症、発達障害などさまざまな精神疾患において有効性が実感されてきました。どんな運動をどんな強度で行うかは、年齢、経験、地域の実情に合わせて、相談にのっていきたいと思います。一方、アスリートも一般人と同様に精神疾患に罹患します。
スポーツ自体あるいはそれを取り巻く環境が精神疾患の原因となる場合もあります。精神疾患などというとアスリートの方は気おくれしてしまうと思いますが、悩みを相談するというくらいの気持ちでお気軽にご相談頂けたらと思います。
腫瘍精神科
がんと診断され、治療が進んでいく中で、患者様やご家族の心には大きなストレスがかかります。 がん患者において、気持ちがつらくなってしまうことはよくあることです。気持ちの落ち込みがなくても、眠れない、食欲がない、体がだるいといった体の症状としてストレスが現れることもあります。
また、ケモ・ブレインといって、抗がん剤治療期間中や、投薬治療が終わった後に、思うように言葉が出てこない、集中できない、 頭がモヤモヤするなど症状を感じる方がいることが注目されています。 このような時には、まず専門家に相談してみることをお勧めします。がんという病気にどのように向き合うかで、がん治療の効果が変わってくることが知られています。がん患者やご家族にとって、心の健康は大切です。
安心してがん治療を進めていけるように、当クリニックでは、精神科薬物療法、心理療法・カウンセリングを中心に、がん患者様とそのご家族への精神的ケアを提供しています。
こんな症状がある方は受診をおすすめします
- がんと診断されたことにより、気持ちがつらくなってしまった方
- がん治療中・治療後に、記憶力や集中力が低下したと感じる方
- ご家族のがん発症や治療に伴い気持ちがつらくなってしまった方
カウンセリングルーム
カウンセリングルームとは、公認心理師・臨床心理士のオフィスです。カウンセリングルームふくろう等々力、カウンセリングルームふくろう自由が丘では、医療機関との併設であることを強みにしています。そのため、なんらかの精神的、身体的な症状をかかえてご相談にいらした場合に、医師の診察をお勧めする場合があります。
なぜならば、精神的な症状のなかには、心理療法よりも薬物療法の方が効果的な場合もあるからです。逆にさまざまな精神疾患、身体疾患の治療において、心理療法・カウンセリングが効果的なものがあることが知られています。その場合には、医師から紹介を受け、心理療法・カウンセリングを担当しますが、その場合にも治療効果を高めるために、医師との連携を重視しています。
なかには、医師の診察は受けたくないという方もいらっしゃいます。その場合には、無理に受診を勧めるということはせず、状況把握に努めます。
カウンセリングルームは、あくまで心に関する相談支援を行う場ですので、精神疾患がなくても、気軽に相談することができます。例えば、家族関係や恋愛関係の相談、仕事や職場の人間関係の相談、学業の相談、自分の性格や能力に関する相談など、精神疾患が関係しない心の問題は広く存在します。その悩みを長引かせることが、精神症状や身体症状の発症につながる場合もあります。
予防する立場で関わっていけるのが、カウンセリングルームの特徴です。もともと私たちは、在宅医療、認知症、がん緩和ケアを専門とするカウンセリングルームふくろう等々力で経験を積んできました。そのため、在宅介護の相談、認知症介護の相談、緩和ケアや遺族ケアに関する相談は得意としています。
特に、精神症状や身体症状がない方であっても、「悩みがある」という時点で相談できるというのが強みだと思いますので、お気軽にご相談頂けたらと考えています。現在は高校生以上の方を対象としています。
医師からの処方で心理療法を受ける場合
来談者中心療法(カウンセリング)を基本とし、認知行動療法、マインドフルネス、問題解決技法など、精神疾患に対する有効性が明らかとなっている心理療法を中心に、患者と共に取り組んでいきます。最近は、発達障害や高次脳機能障害の方からのご相談も多く受けています。他院の精神科・心療内科へ通院されている方は、主治医の了解を得てからお申込下さい。
ご本人様から直接相談を頂く場合
まずは、心理アセスメントと言いますが、よく話を聞き、情報を聴取し、場合によっては心理検査を行いながら、相談内容の解決方法を来談者とともに探していきます。相談者のお困りごとによって、ストレス・マネジメント技法の心理教育や、認知行動療法的なアプローチを行うこともあります。こんなことでお困りの方のご相談をお受けします。
気分や性格のこと
- 気持ちの落ち込みや、漠然とした不安が強い。
- よく眠れない、朝起き上がれない。
- 勉強や仕事など、日常のことが手につかない・うまくこなせなくなっている。
- 人前で話すことが苦手で不安が強い。
- 他人の目が気になる。人間関係で傷つきやすい。
- 嫌な記憶がよみがえり、気持ちの切り替えができない。
- 親子関係、夫婦関係、パートナーとの関係、子育ての悩み。
対人関係のこと
- 人と関わることが苦手、コミュニケーションがうまく取れない。
- 衝動的な言動で他者とトラブルになりやすい。
- 不注意なミスが多い、計画立てが苦手。
- 思考の極端さ、こだわりが強い。
上記のようなお悩みのベースには、発達障害がある可能性があります。診断がある方も、ない方も気になる方はご相談下さい。当院で心理検査も行っています。
物忘れが気になる
当事者の方
最近できないことが増えてきて不安、今後の人生をどのように生きていったらいいんだろう、など困っていらっしゃいませんか?当院では、少し物忘れが気になり始めた方向けの教室「脳の健康教室」があります。また、これまでの人生、今抱えているお悩み、これからのことについてゆっくりとお話できる場所もあります。相談したいけれど外出するのが大変、という方にはご自宅に訪問させて頂くことも可能です。
ご家族の方
配偶者や親が最近忘れっぽくなってきた、好きだった趣味にも取り組まずぼうっと過ごすことが増えたなど、以前との変化を感じることはありませんか?当院では、ご家族の方が相談できる、「ケアラー外来」、また、カウンセリングルームふくろう等々力では認知症のご家族が介護者同士お話できる「家族ほっとカフェ」※を開催しています。
当事者をケアする介護職の方「介護者のためのコンサルテーション」※
BPSD*が見られる方への対応に困っている、認知症についての知識はあるけれど現場でうまく活かせない、など困っていらっしゃいませんか?臨床心理士が、お一人おひとりの特徴に合わせて、より良いケアを継続していくための方法を一緒に考えます。
*認知症の主な症状に伴ってあらわれる精神面、行動面の症状。落ち込み、不安、暴力、暴言、拒絶など。
がん闘病中の方、ご家族の方
大きな病気になると、誰もがこころとからだに ストレスが生じます。場合によっては 日常生活に 支障をきたすこともあります。診断や再発、仕事との両立、治療の選択など、その時々で気持ちの揺れや不安になることは自然なことです。そのような時に、気持ちを整理したり、対処方法を一緒に考えたりするお手伝いをさせて頂きます。
ご家族のための「ケアラー外来」
がんと診断された方のご家族は、ご本人の気持ちを理解することや、ご家族ご自身の心身のケアも大切です。日常生活の中で、どのように支えていくことが良いのか、ご本人の気持ちをより理解するためにはどうすれば良いかなどを一緒に考えるお手伝いをさせて頂きます。また、カウンセリングルームふくろう等々力では、当事者の方やそのご家族同士の交流の場「やすらぎがんサロン」※の開催も行っています。
診断後支援外来
認知症と診断された、高次脳機能障害と診断された方へ、病気とどのように付き合ってよいか分からない、病気への具体的な対応についての情報が欲しいなどありませんか?認知症と診断された場合、早い段階から生活の支えや社会資源へのつながりを促し、将来計画を考えるための診断後支援が重要だと言われています。診断後支援外来では、 ご本人・ご家族が安心して、今の生活を継続できる環境調整を行うことや、ご本人・ご家族自身が問題解決できるように、認知症認定看護師を中心に相談員や臨床心理士/公認心理師がお手伝いします。
※「家族ほっとカフェ」「介護者のためのコンサルテーション」「やすらぎがんサロン」の詳細は、こちらのカウンセリングルームふくろう等々力のホームページをご覧ください。
費用(心理士による相談・心理学的支援)
| 外来 | |
|---|---|
| 30分 | 5,000円(税別) |
| 50分 | 8,000円(税別) |
| オンライン | |
|---|---|
| 30分 | 5,000円(税別) +1,100円(事務手数料) |
| 50分 | 8,000円(税別) +1,100円(事務手数料) |
オンライン診療アプリまたは端末ビデオチャットを使用。※アプリ使用料として、別途330円かかります。
| ケアラー外来 | |
|---|---|
| 30分 | 3,000円(税別) |